2014年3月13日木曜日

ミツバチのささやき

持田裕子さんについての記事の続きです。

私の新作「貝のふた」を聴いて持田さんが送ってくれた感想の一部を彼女の許可を得て抜粋します。

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かなり前の映画ですが、ミツバチのささやき、っていう
ビクトル・エリセっていうスペインの監督の映画があって、
そこで、小さな少女、アナ・トレントちゃんが
フランケンシュタインと出会うときの顔がうつった
ポスターや画像が巷でたくさん出てたから、
映画観てなくても、その顔くらいは見たことあるかもしれません。
あの彼女のたたずまいを想い出します。
こわくても、動じずに、見据えるまなざし。そのピュアさ。

こじまさんの音楽は、少女のものであり、大人のものでもあり、
おばあちゃんになっても楽しめるものだと思うけど、
そんなピュアな、生な、
今ふうにいうと、ガチな、っていうんですかね、
そんな向き合い方、対峙の仕方が、いいなあって
・・・・

「ミツバチのささやき」は気になる映画ではあったのですが、まだ見たことがなくて、良い機会と思いamazonで中古のVHSをポチッと買って、観ました。

すべてのシーンを切り取って部屋に飾りたくなるような、美しい映画です。芸術のレベルとして、私の音楽とはまったく次元の違う素晴らしさなのですが、どうにも親しいと感じる部分が多く見つかりました。というのも、全編を通してたびたび現れる黄色っぽい光が、実家のアルバムの中にある、記念日ごとに撮影された教会の中での写真の色になんだかとっても似ているから。

アナ・トレントちゃんの寝巻は、洗礼式や初聖体のときに着せられた白いテロンとした素材の服にあまりにもそっくりだし、お父さんときのこ狩りに行く森は、今もうちのキッチンの壁に貼ってある写真の中の菊ヶ浜の松林によく似ているし、小学校の先生のスペイン人特有の大らかな笑い皺は、小さな町のスペイン系ミッションスクールで15年を過ごした私には、どうにも、見たことあるような気がする、のでした。

黄色い光やなんかは、カヴァー曲「みしなる」で期せずして向き合うことになってしまった風景とつながっているような気がしていて、持田さんはそれを嗅ぎとったのでしょうね。カトリック育ちということくらいしか、話した覚えはないのですが。

「ミツバチのささやき」は高校のときにレイトショーで一回見たきり、なのに、私の「貝のふた」を聴いてこの映画を思い出したそうです。なんだかわからないけど、すごい。驚くべき鼻の持ち主です。

緻密で、愛そのもので、心の奥に直に届き、つい口ずさみたくなる持田裕子さんの音楽。2枚のCDがマドレーヌ・レコードで入手可能です。
こちらをご覧ください。

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